繰り返す「痛いおでき」の正体は?
脇の下の「痛いできもの」を繰り返す方へ。その痛み、日常生活の負担になっていませんか?
脇の下の「痛いできもの」を繰り返す方へ。その痛み、日常生活の負担になっていませんか?
「脇の下に、また痛いしこりができた」「腕を上げるのも、服が触れるのも痛くて不快だ」……そんな悩みを抱えていませんか? 脇の下のできものは、場所が場所だけに周囲に理解されにくく、「たかがおでき」と一人で痛みをこらえがちです。しかし、何度も繰り返すその痛みは、単なる肌トラブルの枠を超え、あなたの日常生活(QOL:生活の質)を低下させる大きな負担となっている可能性があります。
単なるおできではない?「痛みを伴う」化膿性汗腺炎(HS)の特徴
単なるおできではない?「痛みを伴う」化膿性汗腺炎(HS)の特徴
脇の下に繰り返し生じる痛みを伴うしこりは、一般的な毛包炎(毛穴の細菌感染)ではなく、「化膿性汗腺炎(かのうせいかんせんえん:HS)」と呼ばれる慢性的な皮膚の炎症性疾患である可能性があります※1。
HSの最も大きな特徴は、なんといってもその「痛み」です。実際の調査データによると、HSに悩む方のほとんど(97.1%)※2が強い痛みを経験しており、さらに10人中8人以上(85.0%)※3の方が「この痛みが一番つらい」と感じていることが分かっています。細菌感染だけが原因ではなく、毛穴の過剰な角化や詰まりによって二次的な炎症が引き起こされるため、適切な対処をしないと強い痛みを伴う再発を繰り返すと考えられています※1。
【参考文献】
Agnese ER, et al.:Cureus. 15(11):e49390, 2023.
Matusiak Ł, et al.:Acta Derm Venereol. 98(2):191-194, 2018.
Kimball AB, et al.:J Dermatolog Treat. 29(2):152–164, 2018.
痛みが日常生活に与える具体的な影響
痛みが日常生活に与える具体的な影響
HSによる強い痛みは、日々のさまざまな場面で活動を制限し、生活の質(QOL)に深刻な影響を与えると報告されています※1。
具体的には、「洋服と肌の擦れ」による痛みで着る服が制限されたり、腕を上げる動作が困難になったりすることが挙げられます※2。さらに、脇だけでなくお尻や足の付け根にも症状がある場合、「長時間座ることが困難」になるケースも多く見られます※2。これにより、仕事への集中力が削がれるだけでなく、趣味のゲームやスポーツ、外出などの機会が奪われ、心理的な負担につながることも少なくありません※1。
【参考文献】
Snyder CL, et al.:Clin Cosmet Investig Dermatol. 16:1833-1841, 2023.
Johnston LA, et al.:J Cutan Med Surg. 00(0):1-23, 2022.
なぜ脇の下で繰り返すのか?放置するとどうなる?
なぜ脇の下で繰り返すのか?放置するとどうなる?
脇の下は毛包(毛穴)が多く、さらに皮膚同士が擦れやすい部位です。HSの発症には、この「機械的ストレス(摩擦や圧迫)」がリスク要因として関与し、皮膚に微細な損傷を与えて症状を悪化させると報告されています※1。
一般的なおできと思って放置していると、症状は次第に進行します。初期(ステージI)の段階では膿が溜まったしこり(膿瘍)にとどまりますが、進行する(ステージII〜III)と、皮膚の下で炎症が広がり、トンネル状の構造(瘻孔:ろうこう)や硬い傷跡(瘢痕)が形成されてしまいます※2。こうなると治療も複雑になるため、症状が軽いうちに炎症の進行を食い止めることが非常に重要です※3。
【参考文献】
Nielsen VW, et al.:J Am Acad Dermatol. 91(6S):S17-21, 2024.
Johnston LA, et al.:J Cutan Med Surg. 00(0):1-23, 2022.
Krueger JG, et al.:Br J Dermatol. 190(2):149-162, 2024.
痛みのループを断ち切るために、まずは相談を
痛みのループを断ち切るために、まずは相談を
「脇の下を診察で見せるのは恥ずかしい」「どんな先生に診てもらえるのか不安」といった思いから、受診をためらってしまう方は少なくありません。何度も繰り返す強い痛みは、辛く不安になるものです。「いつものことだから」と一人でじっと耐え続けていても、原因そのものが消えてくれるわけではありません。



そんな不安を少しでも和らげるために、「病院検索ツール」では、HSの相談ができるお近くの医療機関を検索できるだけでなく、「医師の性別」を指定して絞り込むことが可能です。「女性・男性医師がいるクリニックなら相談しやすい」といったご希望に合わせて病院を探すことができます。
痛みのループを断ち切り、負担のない日常を取り戻すために、まずは安心して相談できる環境を見つけて、皮膚科を受診してみてください。
監修|日本大学医学部 皮膚科学系 皮膚科学分野
主任教授 藤田英樹 先生

