軽傷
1か月に2個程度、痛みのあるしこりや膿のかたまりができる。
「ただのおでき」と放置しないで。痛いしこりが繰り返す理由
「おできができて痛い」「座るだけで辛い」と悩んでいませんか? デリケートな部分や衣服が擦れやすい場所にできるしこりは、日常生活に支障をきたし、ストレスとなります。もし、何度も同じ場所に痛いしこりが繰り返している場合、それは単なる一時的なニキビや毛嚢炎(もうのうえん)ではないかもしれません ※1。
【参考文献】
1.Agnese ER, et al.:Cureus. 15(11):e49390, 2023.
【症状別】これっておでき?間違いやすい皮膚疾患
痛みを伴うしこりや「おでき」が生じたとき、代表的な皮膚疾患として以下のものが考えられます。
ニキビ(尋常性痤瘡):毛穴に皮脂が詰まり、細菌が感染して起こる一般的な炎症です※1。
毛嚢炎(もうのうえん)・せつ(おでき):毛穴の奥(毛包)に細菌が感染して起こる皮膚の感染症です※1。
表皮嚢腫(粉瘤:アテローム):皮膚の下に袋状の構造ができ、そこに皮脂や角質が溜まってしこりになる状態です※1。
化膿性汗腺炎(かのうせいかんせんえん:HS):上記の感染症とは異なり、毛穴の過剰な角化や詰まりが引き金となり、二次的な炎症を繰り返す慢性的な免疫の病気と考えられています※1。特定の部位に、6ヶ月以上の期間で2回以上再発する場合、HSの可能性が高いと報告されています※2。
【参考文献】
1.Agnese ER, et al.:Cureus. 15(11):e49390, 2023.
2.Snyder CL, et al.:Clin Cosmet Investig Dermatol. 16:1833-1841, 2023.
繰り返される「痛み」の原因
皮膚疾患の中でも何度も同じ場所に痛いしこりが繰り返している場合は、HSの可能性が考えられます。
HSは、一般的なおできと異なり、放置すると皮膚の下で炎症が広がり進行していく特徴があり、一般的に「Hurley(ハーレー)分類」と呼ばれる軽症・中等症・重症の3つのステージで分類されます※1。

軽傷
1か月に2個程度、痛みのあるしこりや膿のかたまりができる。

中等症
皮膚の下にトンネル・瘻孔(ろうこう)ができて、そこから膿が出てくることが多い。

重症
痛いしこりが増えて膿がたまり、トンネル・瘻孔(ろうこう)が増えたり、しこりが大きくなったりする。
HSの詳しい解説はこちら
https://ucbcares.com/ja-JP/disease-awareness/immunology/hs/hs-info/about/about-hs/
【参考文献】
1.Johnston LA, et al.:J Cutan Med Surg. 00(0):1-23, 2022
HSができやすい場所と、その理由
HSは、わきの下、足の付け根(そけい部)、お尻、乳房の下など、特定の部位にできやすい特徴があります※1。 疾患の正確な原因は完全には解明されていませんが、毛穴の過剰な角化と詰まりが初期の引き金になると考えられています※2。そこに、きつい衣服による摩擦や圧迫などの「機械的ストレス」が加わることで、皮膚に微細な損傷を与えて症状の悪化につながると報告されています※3。また、肥満や喫煙なども全身の炎症状態に影響を与え、リスク要因となることが示唆されています※2。



【参考文献】
Sabat R, et al.:Nat Rev Dis Primers. 6(1):18, 2020.
Agnese ER, et al.:Cureus. 15(11):e49390, 2023.
Nielsen VW, et al.:J Am Acad Dermatol. 91(6S):S17-21, 2024.
HSの痛みと生活(QOL)への影響
HSの特徴の一つが、日常生活の負担となる「痛み」です。調査によると、HSに悩む方のほとんど(97.1%)※1が強い痛みを経験しており、さらに10人中8人以上(85.0%)の方が「この痛みが一番つらい」と感じていることが分かっています※2。
具体的な生活への影響として、「洋服と肌の擦れ」による痛みや、「長時間座ることが辛い」といった悩みが挙げられます※3。これにより、仕事への集中力が低下したり、趣味のゲームや運動が制限されたりと、生活の質(QOL)が著しく低下する要因となります※4。
【参考文献】
Matusiak Ł, et al.:Acta Derm Venereol. 98(2):191-194, 2018.
Kimball AB, et al.:J Dermatolog Treat. 29(2):152–164, 2018.
Johnston LA, et al.:J Cutan Med Surg. 00(0):1-23, 2022.
Snyder CL, et al.:Clin Cosmet Investig Dermatol. 16:1833-1841, 2023.
「繰り返す痛み」には早期受診を
痛みを伴うしこりが何度も繰り返す場合、それは市販薬や一時的なケアでは根本的な解決が難しいサインかもしれません。痛みのループを断ち切り、これ以上症状を進行させないためには、皮膚科などの専門の医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることがポイントです※1。
「もしかして化膿性汗腺炎かも?」と思ったら、一人で悩まず、まずは本サイトの「病院検索ツール」を活用して、お近くの相談できる医師を探してみてください。
【参考文献】
Johnston LA, et al.:J Cutan Med Surg. 00(0):1-23, 2022.
監修|日本大学医学部 皮膚科学系 皮膚科学分野
主任教授 藤田英樹 先生